ある日の練習終わり、フィリオ先生から以下の内容を告げられた。
「ゆうと、月曜日はこれまで学んだ形の審査するからよろしくね」
先生は毎日私の形を見ているのになぜ今更審査をするのだろうかと内心思っていたが、そんなことは口が裂けても言えるはずがなく、「わかりました」とだけ答えていた。
ベラクルス滞在中(詳細は前回の投稿を参照)も、心のどこかでは「帰ったら審査か〜」と気が気でなかったため、プールの中でも形の順番を再確認していた。
当日、「最後の踏ん張りどころだ!」と言わんばかりに気合を入れ道場に向かった私だったが、なんだか中が騒がしい。ヤナも普段とは違って忙しなく道場へ続く階段を上がっていく。さらには道場へ到着するなり扉を閉められてしまった。
しかし、実はこの時点で少し見えてしまっていた。なんだが楽しげな装飾が垣間見えたが黙って知らないふりをすることに徹した。知らない体を装って道着に着替えようとしていたところ「今日は着替えなくていいよ」と先生に言われたので、そこは設定が適当だなと突っ込みたくなった(もちろんツッコむ勇気はない)
もう入っていいよ〜と言わんばかりに道場生が手招きをしてくれたので中に入ると、道場の中はパーティー仕様に着飾られていた。今更だが改めて説明すると、審査だと伝えられていた情報は嘘で、実は道場生たちが「さよならパーティー」なるものを企画・開催してくれていたのだった。
期待されているようなリアクションができないのでサプライズは苦手な私だが、一人ひとりが私にメッセージを送ってくれて、普段は拳でしか会話していなかったようなメンバーとも話す機会が得られたのでとても楽しかった。
空翠会の道場生たちは外部から来たものに対しても非常に寛容であり、かつ仲間にまで引き入れてくれる温かいメンバーばかりだ。将来私もこのようなコミュニティーを築けるようになりたいと思える居場所である。
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